豪ドル/円相場は、80円の節目水準まで軟化する展開になっている。8月21日の83.57円をピークに、ほぼ一貫してじり安の展開になっており、7月25日以来の安値を更新した。特に豪経済にネガティブな動きがあった訳ではないものの、中国を筆頭に世界経済の先行き不透明感が強まる中、資源国通貨・高金利通貨からの投機資金流出が活発化している。
こうした中、9月4日にオーストラリア準備銀行(豪中央銀行)の金融政策決定会合が開催されたが、政策金利の誘導目標は3.50%で据え置かれた。3会合連続の据え置きであり、主要先進国の中では最も高い水準が維持されている。スティーブンス総裁は、上期の個人消費は「かなり堅調」とする一方、商品価格がここ数ヶ月で「急激に」下落していること、中国の成長見通しが一段と不透明になっていることに、強い警戒感を示している。ただ全体的なトーンとしては、「資源部門の資本投資の極めて大きな伸びに牽引され、成長率はトレンド近くになっている」と分析されており、特に利下げ対応が急がれる環境にはない。その意味では豪ドルにポジティブな内容とも言えるが、同時に「豪ドルはここ1、2ヶ月にわたって値下がりしているが、輸出価格の下落と世界見通しの悪化を考慮すれば、予想より高水準を維持している」と、引き続き豪ドルの水準は高過ぎるとの見方が示されている。豪ドルは、同会合後に一応は反発しているが、大きな値動きには発展しないだろう。
中国要因では、9月1日に発表された8月製造業購買担当者指数(PMI)が前月の50.1から49.2まで低下し、昨年11月以来の50ポイント割れになっている。中国経済の減速が如実に分かる状況にあるが、それが同時に追加の政策対応期待を高めており、豪ドルの下落ペースは緩やかなものに留まろう。
今後1週間の予想レンジは、78.50~81.50円。